第14回小笹屋竹鶴呑切会(その1)
9月27日(月)に行ってまいりました!広島は竹原に!
今回で14回目になる竹鶴の呑切会、私は4回目の参加です。
会は竹鶴の出荷中&貯蔵中の全種類(62種類!!)の利き酒がメインですが
毎年石川杜氏本人による基調講演があります。
毎年(といっても4年目ですが)「はっ!」とするテーマばかりで
自分自身がいかに目を閉じて生活しているのか思い知らされます(泣)
今年のテーマは「アルコール添加いわゆるアル添について」でした。
それでは以下は石川杜氏のお話の要約です。
まだ本決まりではないのですが
21BYをもって本醸造の造りは最後になるかもしれません。
そうなるといよいよ「全量純米の蔵」ということになるわけですが
この機会にアル添について話しておこうと考えました。
そもそも「何故、純米でなくてはいけない」のでしょう?
アル添は悪者でとにかく純米でなくてはいけないという純米原理主義は
「じゃあ何故純米なのか?」ということについての理由付けや
根拠が不明ではないでしょうか?
そもそも、これまで造り手自身がアル添の話をしたことがありません。
隠すわけではないけれど積極的な情報発信はしてこなかった。
酒造りについて「どこそこの伏流水を使って醸す」とか
「新しい酵母がどうしたとか」「酒米がこうで」とか
そういう自慢しやすい話は多く語られるのに
炭素ろ過や滓下げ剤、ヤコマン、様々な添加物等々については
表示義務もないし話題になることもありません。
私は神亀で修行した後で竹鶴に入ったため
それまで純米の造りしか経験したことがありませんでした。
竹鶴に来てから初めてアル添に出会ったわけです。
一番安い酒にこそ、その蔵の誠意が見えると思っていますので
「アル添酒でもやるからには旨い酒を…!」と考えました。
まず、アル添は酒にどのような影響を与えるかといいますと
入荷したアルコールは95パーセントくらいの濃度ですが
消防法の関係ですぐに30パーセントほどに薄めて添加します。
この30パーセントのアルコールの日本酒度は+52.5になる。
アルコール分17.0%、日本酒度-1.0のもろみ1200ℓに
30%のアルコールを180リットル添加すると
添加後のアルコール分は
(1200×0.17+180×0.3)÷(1200+180)≒0.187(18.7%)
日本酒度は
(1200×(-1.0)+180×(+52.5))÷(1200+180)≒(+6.0)
となる。
また、このもろみの仕込総米を500㎏とすると、白米1t当たりの100%換算アルコール添加量は
(180×0.3)×(500÷1000)≒108ℓ
つまり、本醸造規格(約116ℓ)内の添加量ということになります。
こうなると、アル添によって酒の内容成分自体が変化してしまうことになります。
さらに、本来であれば、糖がゆっくりとアルコール発酵していくことで
日本酒度が上がっていくのだがアル添すると、一気にメーターが振り切れてしまうので
完全発酵が終了する前に発酵を止めないといかんわけです。
アルコール添加後に四段掛けを施すと
日本酒度が一気に高くなったものが10くらい戻ります。
こうして出来上がったアル添酒は
データ的に全く同じ純米酒と比較しても味わいは不自然で
アル添酒には、ひとつの酒の中に味わいが混在しているという印象であります。
私はこの四段を特にやめたかった。
最後に甘酒をぶち込んでしまっては未分解の中間生成物が入ることになります。
また、発酵がきちんと全うされてされているか?
最近売れてる純米酒の多くもそうですが未発酵な印象なものが多いです。
竹鶴の本醸造の場合でも純米として充分OKなレベルまで発酵させてから添加する。
そのため日本酒度はかなり高めになります。
(最後にまとめとして)
造り手としてアル添は否定してはいけないと思う。
アル添や三増酒をやってきたからこそ
現在まで日本酒造りが生きながらえてきた。
未来を見ても世界的な食料不足は間違いなく起きる。
「純米は造ってはダメ」という時代が来なくもない。
そのときに「じゃ、ヤーメタ!」では許されない。
「生もと」ひとつ取っても、
なんのお手本も無いところから手探りで復活させてきた。
技術は途絶えさせてはいけない。
可能性を消してはいけない。
蔵や設備を残していけば何とかなるかもしれない。
継続していくことこそ大事なんだということ。
そして、色々な酒が存在していいのだと思う。
「純米、それも生もとしかダメ」とかよりも
多様性を担保していくということがこれからは大切になってくる。
(以上、大急ぎで忘れないうちにまとめました。
「ここ違うよ」がありましたら指摘してください)
今回で14回目になる竹鶴の呑切会、私は4回目の参加です。
会は竹鶴の出荷中&貯蔵中の全種類(62種類!!)の利き酒がメインですが
毎年石川杜氏本人による基調講演があります。
毎年(といっても4年目ですが)「はっ!」とするテーマばかりで
自分自身がいかに目を閉じて生活しているのか思い知らされます(泣)
今年のテーマは「アルコール添加いわゆるアル添について」でした。
それでは以下は石川杜氏のお話の要約です。
まだ本決まりではないのですが
21BYをもって本醸造の造りは最後になるかもしれません。
そうなるといよいよ「全量純米の蔵」ということになるわけですが
この機会にアル添について話しておこうと考えました。
そもそも「何故、純米でなくてはいけない」のでしょう?
アル添は悪者でとにかく純米でなくてはいけないという純米原理主義は
「じゃあ何故純米なのか?」ということについての理由付けや
根拠が不明ではないでしょうか?
そもそも、これまで造り手自身がアル添の話をしたことがありません。
隠すわけではないけれど積極的な情報発信はしてこなかった。
酒造りについて「どこそこの伏流水を使って醸す」とか
「新しい酵母がどうしたとか」「酒米がこうで」とか
そういう自慢しやすい話は多く語られるのに
炭素ろ過や滓下げ剤、ヤコマン、様々な添加物等々については
表示義務もないし話題になることもありません。
私は神亀で修行した後で竹鶴に入ったため
それまで純米の造りしか経験したことがありませんでした。
竹鶴に来てから初めてアル添に出会ったわけです。
一番安い酒にこそ、その蔵の誠意が見えると思っていますので
「アル添酒でもやるからには旨い酒を…!」と考えました。
まず、アル添は酒にどのような影響を与えるかといいますと
入荷したアルコールは95パーセントくらいの濃度ですが
消防法の関係ですぐに30パーセントほどに薄めて添加します。
この30パーセントのアルコールの日本酒度は+52.5になる。
アルコール分17.0%、日本酒度-1.0のもろみ1200ℓに
30%のアルコールを180リットル添加すると
添加後のアルコール分は
(1200×0.17+180×0.3)÷(1200+180)≒0.187(18.7%)
日本酒度は
(1200×(-1.0)+180×(+52.5))÷(1200+180)≒(+6.0)
となる。
また、このもろみの仕込総米を500㎏とすると、白米1t当たりの100%換算アルコール添加量は
(180×0.3)×(500÷1000)≒108ℓ
つまり、本醸造規格(約116ℓ)内の添加量ということになります。
こうなると、アル添によって酒の内容成分自体が変化してしまうことになります。
さらに、本来であれば、糖がゆっくりとアルコール発酵していくことで
日本酒度が上がっていくのだがアル添すると、一気にメーターが振り切れてしまうので
完全発酵が終了する前に発酵を止めないといかんわけです。
アルコール添加後に四段掛けを施すと
日本酒度が一気に高くなったものが10くらい戻ります。
こうして出来上がったアル添酒は
データ的に全く同じ純米酒と比較しても味わいは不自然で
アル添酒には、ひとつの酒の中に味わいが混在しているという印象であります。
私はこの四段を特にやめたかった。
最後に甘酒をぶち込んでしまっては未分解の中間生成物が入ることになります。
また、発酵がきちんと全うされてされているか?
最近売れてる純米酒の多くもそうですが未発酵な印象なものが多いです。
竹鶴の本醸造の場合でも純米として充分OKなレベルまで発酵させてから添加する。
そのため日本酒度はかなり高めになります。
(最後にまとめとして)
造り手としてアル添は否定してはいけないと思う。
アル添や三増酒をやってきたからこそ
現在まで日本酒造りが生きながらえてきた。
未来を見ても世界的な食料不足は間違いなく起きる。
「純米は造ってはダメ」という時代が来なくもない。
そのときに「じゃ、ヤーメタ!」では許されない。
「生もと」ひとつ取っても、
なんのお手本も無いところから手探りで復活させてきた。
技術は途絶えさせてはいけない。
可能性を消してはいけない。
蔵や設備を残していけば何とかなるかもしれない。
継続していくことこそ大事なんだということ。
そして、色々な酒が存在していいのだと思う。
「純米、それも生もとしかダメ」とかよりも
多様性を担保していくということがこれからは大切になってくる。
(以上、大急ぎで忘れないうちにまとめました。
「ここ違うよ」がありましたら指摘してください)
by soba-kiri | 2010-09-30 16:22 | 社会科見学