カテゴリ:社会科見学( 23 )

 

増産できないワケ

<麹室での写真撮影の注意点>
・寒~い蔵からいきなり30℃~40℃の室に入るとカメラが結露します。
・だから「室の写真が撮りたいなー」と思ったら事前に室の片隅にカメラを置いておきます。
・するとレンズが曇りません。
・なお室の中は目に見えない麹菌や胞子が充満していますので…

カメラ&レンズの寿命をかなり短かくします!!(笑)


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久保本家さんの石数はたしか500石くらい。
「タンクは大きいんだし、なんでもっと増産しないのかなー」と思っていた。
その理由がちょっとだけわかった。

理由:「麹室がこんだけだから」

この室で、この床で処理できる蒸米には限りがある。
だから製造する酒の量もおのずと制限されてくるわけ。
たしかに神亀の室の床はたしかにでかかったなー。

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あ、でもいいこと思いついちゃった。
仕込みの麹の割合を減らして
米と水をたくさんぶち込めばイッパイ酒が造れるぞ!
え?糖化力が低下する?
いやいやそこは酵素を添加するとかできるでしょ?
ついでに酒母の割合も減らせばもっと合理的!
え?酵母が弱る?
えーい!酵母添加もしちゃえ!
なかなか発酵しなくても
日数が来たらさっさと搾りましょー!!
雑味が残ってもどうせ炭素ろ過しちゃうんだから無問題!

こうして日本酒の味は無残にぶっ壊れていく!

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そういう悪の技(私の妄想だけど)を一切しない蔵は
なかなか増産できないわけですなー。

だって自分が呑むための酒造りする人たちだから。

by soba-kiri | 2011-02-10 16:50 | 社会科見学  

暖気操作ということ

先週の事故は本当にお騒がせしました。

たくさんのお客さまに「大丈夫?」と声をかけていただきました。
(「ブログ見てくれてるんだー」という驚きと共に…)
ありがとうございました。

さて久保本家潜入レポート

「暖気操作編」


「暖気」は「だき」と読みます。
酒母の温度を人為的に上げたり下げたりするために
熱湯を詰めた樽=「暖気樽」を主母に突っ込みます。

で、入れっぱなしではいけないので
ころあいで引き上げるわけですが

これが重い!

昨年は40キロ級を3本引き上げたけどね。
これは20キロ級かしら?

気合を整えて…

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ふんぬーっ!!

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どすこーい!

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今度はさっき「もと寄せ」した生もと17号蕎麦屋仕込みの荒櫂300本。
白目を剥くほどきっつい!ヨッシーも近寄らないもとの硬さ。

液体の発酵物造ってるイメージから遠く離れるね。

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酒母が硬いとかゆるいとか、麹が硬いとか柔らかいとか蔵によっていろいろだけど
加藤杜氏のやり方ではこれがベストなんだろうなー。

酒母日数は40日。とてつもなく長い!
基本的に蔵は寒いけど、暖気操作で激しい温度の上げ下げ。
これで水分が多かったら早く湧いちゃって失敗するんじゃないのかなー?
気温の高い地域や米の処理の仕方によっても違うと思うけど
宇陀ではこれなんやなーですな。

飲む人にやさしい酒造りは
造る人にはとってもキビシー!!


でもまあ結局こんなかんじで夜は更けゆく。

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by soba-kiri | 2011-02-07 20:10 | 社会科見学  

緩急ということ

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上の画像はもと摺り開始直前の画像。

あ、第5回久保本家潜入報告です。

「けんちゃん硬いの好きやろうから硬くしといたでー」
「ロートルに限って『まだまだ余裕』とか言うんや」
「あっちの○○は△△したんかいなー」
「××××××は××××××ですから!(爆笑)」

ずーっっとバカ話&Hな話で大いに盛り上がっていたと思ったら

「はいじゃあ…」

という杜氏の小さな合図でいきなりトップギア!!

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動作の入り方がコールドバレエのように呼吸が合ってる。
蔵人が杜氏の気配に神経を接続してるんだろうね。

お茶の時間もケーキを食べたりTVを観たり
バカ話をしてシモネタで大いに盛り上がっていても

「かかれ…」

という一言で蔵人が散っていく。

普通の感覚では

これから行う作業についてあれこれ話したり
判らないところや不安な要素を相談するよね。

この蔵ではいっさい無いね。そういうの。

つーか、そんなレベルではないんだな。

いちいち言い聞かせて判らせてたり
理解してから動いたり動かされたり

そんなんじゃ間に合わない。

緩急というより「瞬発力」のある集団です。

by soba-kiri | 2011-01-29 02:55 | 社会科見学  

第14回小笹屋竹鶴呑切会(その2)

今回の竹鶴訪問で見たかったものといえばこれだ!↓
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21BYから生もとは大吟も含めてすべて木桶仕込みとなった。
「木の香りがつくんじゃないの?」と心配したが
利き酒したところ、そんな印象はないです。
それよりも、米が「八反」であるからなのか
よりいっそう暴走してる感じがします。
(グレートヴィンテージな予感がします)

さて木桶仕込みの最大の特徴ってなんでしょう?
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(答)保温性が高いこと。

ちなみに石川杜氏はもろみの温度操作は一切しません。
冷却装置付のタンクもあるのに電源入れないし。
水を汲むときにも氷水を使ったりもしない。
(あ、洗米には冷却水を使う)
無論、蔵にはエアコンも無いです。
(1月でも蔵の前をカニが歩くほど温暖な竹原)

だから「通常よりかなり高い温度帯で曲線を描きました」(石川杜氏談)
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通常の発想では…というか一般のイメージでは
酒造りというと「雪深い山里で醸される」とか
または「低温でいじめ抜いてじっくりと醸造した」とか
酒造りの手順がわかってくると
・蒸米を冷ましたり
・暖気(樽)を入れたり
・酒を保管したり
それらの作業には低温が重要なんだなーと考えがちだ。
じっさい酒母室は蔵でもっとも寒い北側にあることが多い(らしい)。

でも、よく考えてみると、もっと温暖な高知あたりだって
冷蔵庫のない江戸時代に酒を造ってきたわけだし
低温は必ずしも絶対条件ではないのかもね。
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↑この画像は「もと場」ここで生もとのもと摺りをやる。
ぶ厚い桧の床材も柿渋が塗り重ねられいい感じになってきている。

今回の蔵訪問(2度目)と石川杜氏のお話の中で改めて感じたことがある。
それは石川さんが常々口にする「放し飼いの酒造り」というのは
お気楽のんきに酒造りをするということではないのは当然で
米や水、麹蓋や桶の適切な大きさ、仕込みの適切な規模を考え抜き
麹や酵母をはじめとした菌たちの働きやすい環境を整えていくことが大事で
力まかせに酒母やもろみを操作してはいけない。

とまでは理解していたつもり、さらに今回気付いたのは
「出来上がってしまった酒に対して余計な手直しやお化粧はしない」
ということなのかなーということ。

アル添をはじめとした酒造りにおける本質的でない技術の多くは
結局のところ「手直し」や「ごまかし」の技術である。

「うちはそういう悪の技は使いませんよ」とは
まさか言うことは出来ないだろうから、
あえて「放し飼いの酒造り」と謙遜してるのかもしれない。

だって呑めば判るじゃんねー。
ただの放し飼いでこんな酒ができるわけないじゃーん!

また、石川さんは酒米や水、蔵の設備、酒造の各行程に想いと手を尽くしてもなお
「これでいいのかな?」と自問し続けている感じを受ける。
そして手直ししない。ごまかさない。お化粧もしない。

手直しとごまかしだけで醸造してる蔵の人たちは竹鶴を呑んでどう思うのかな?

半切りですね。柿渋が効いてます。
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漫画「蔵人(クロード)」でおなじみの物干し場。
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敏夫専務によれば大昔はこの蔵の前が海岸だったとのこと。
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石川杜氏のご子息の夏休みの自由研究。つか論文だわ。
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若き日の石川杜氏@神亀(?)
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裏庭で酒米を栽培。雄町?八反?
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小笹屋竹鶴宿根雄町22BYの原料。
窒素を抑えた徒長させない栽培。倒伏してない。
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by soba-kiri | 2010-10-09 22:58 | 社会科見学  

第14回小笹屋竹鶴呑切会(その1)

9月27日(月)に行ってまいりました!広島は竹原に!
今回で14回目になる竹鶴の呑切会、私は4回目の参加です。

会は竹鶴の出荷中&貯蔵中の全種類(62種類!!)の利き酒がメインですが
毎年石川杜氏本人による基調講演があります。
毎年(といっても4年目ですが)「はっ!」とするテーマばかりで
自分自身がいかに目を閉じて生活しているのか思い知らされます(泣)

今年のテーマは「アルコール添加いわゆるアル添について」でした。

それでは以下は石川杜氏のお話の要約です。

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まだ本決まりではないのですが
21BYをもって本醸造の造りは最後になるかもしれません。
そうなるといよいよ「全量純米の蔵」ということになるわけですが
この機会にアル添について話しておこうと考えました。

そもそも「何故、純米でなくてはいけない」のでしょう?

アル添は悪者でとにかく純米でなくてはいけないという純米原理主義は
「じゃあ何故純米なのか?」ということについての理由付けや
根拠が不明ではないでしょうか?

<長くなるのでこっちを読んでね>

by soba-kiri | 2010-09-30 16:22 | 社会科見学  

おじさんのオバサン。

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画像は「床もみ」ですね。
麹菌がまぶされた蒸米を解きほぐしていく。

この画像で注目すべきは男達が皆「エプロンがけ」なところ。

漫画「夏子の酒」をはじめ、室の作業は上半身裸が基本なかんじ。
神亀さんなんぞは「パンツ一丁」です。

そこのところを加藤杜氏に聞いてみると
「男の裸なんてきったないやろ!」
「何が変な毛かなにか落ちるかわからん」
「だからこんな“おじさんのオバサン”やねん」

自分が飲むための酒を作る人のかなり本音の部分ですね。

麹室の香りって…DNAに直接語りかけてくるよね~♪

by soba-kiri | 2010-01-25 00:37 | 社会科見学  

「蕎麦屋仕込み」21BY@久保本家

考えてみたら、07年に訪問して以来
今年で4回目の蔵訪問になった。

そして、念願の生もとのもと摺りを体験してきました。
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今日は加藤杜氏のお誕生日!
会所場で♪ハッピバァースデー親方ァ~♪大合唱。
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17号タンクは「蕎麦屋仕込み」になっております(笑)
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自分のやりたいこと造りたいものにたいして
全くブレない人たちと会ってくる事は
私にとってとても大切なことになっています。
やるべきことを着実にこなすことの大事さ。

by soba-kiri | 2010-01-15 00:01 | 社会科見学  

酒母を味見させていただく!

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酒母室には、ズラリッと酒母タンクが並んでいる。
もうすぐ使用するものやら、もと立てしたばかりのものまで
「生もとのどぶ」の赤ちゃんと言ったらいいのだろうか。
これを目の前にして言うべきことはただひとつ…。

「加藤さ~ん、全部味見させて♪」

これです!2時間にもわたる蒸米作業中に私がコソコソやっていたこと!

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(期待していた味わい)
・とにかく酸っぱいのでは?
・バランスは悪いけどワイルドかも。
・もしくは甘くて仕方ないかな。
・ダレたかんじがするのでは?
・よくわからないかもね。

これは大ハズレだった!!
順番としては完成間近の酒母から
もと立てしたばかりのものへと順番に味見させてもらった。

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(結果)

・酒母のくせに切れる!!!

味見させていただいた酒母はどれも
素人の私でさえわかるほどにバランスがいい。
なるほど酸味や甘味の差はあるのは当然。
何故だろう。ブラックホールに引き込まれそうになる感じ。

不気味だ。

さらに言うと、こんな素人の「味見させて」を
不敵に容認する加藤杜氏の自信というか懐の深さを感じた。

なんじゃこりゃ!!

by soba-kiri | 2009-02-05 01:23 | 社会科見学  

蒸し!!

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大宇陀の朝は寒い!!確かマイナス4℃くらい。
久保本家の朝4時の外観です。実際はもっと暗いのだ。
ちなみに蔵人のこの日の起床は3時半(だと思う)。
(昨晩あんなに呑んだのに・・・)
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甑(こしき)に少しずつ、ホント~に少しずつ米を置いていきます。
蒸気が抜けてから次の米を置いていく。これが“抜けがけ”ってヤツなのね。
この朝は速醸純米の留の掛け米500キロと山田の麹米を蒸す。
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画像の左中ほどに注目!
両足が完全に浮いてます!
甑に体ごと突っ込んで米を手で均していくのです。
あまりにも緊張感がみなぎっていて
聞けなかったのだけど落ちたことないのかな?

4時から米を置き始めて最後に麹米を置き終わったのが6時過ぎ!
米を置くだけで2時間以上もかけているのだ。
ボンボン!と置いちゃう蔵もあるだろう。
もっとデカイ蒸米の装置もあるのでしょう。
でもそうしたら、米を手で均すなんてできっこない。
このサイズで出来る…いやこのサイズだからこそ出来ることなんだな。

「蒸しあがりは6時50分くらいだから休憩!」
どうするのかと思ったら眠るのです。
蔵の電気が消され。暗闇にボイラーの音が響く。
昨晩の“どぶ”に未だに酔ってる私もありがたく眠る(笑)
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さあ!蒸し取りです!
麹室に引き込み作業開始!

「さいとう君、キミは2時間何していたんだい?」という声が聞こえます。
実はかなり貴重な体験をさせていただいておりました。
(つーか全体を通して貴重すぎるんだが…)
それは次回!

by soba-kiri | 2009-02-03 01:06 | 社会科見学  

プロの櫂入れ!

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画像は先週お邪魔してきた久保本家の「イタやん」こと板垣さんの櫂入れです。
これを単なるブレブレ写真と思わないで欲しい。
よーく見ると、腰から下がまったくぶれてない。
特に右足の踏ん張った感じは凄いし
さらに、右足首から左耳の付け根までビシッと軸が出来ている。
腰はタンクにくっつくことはなく独立して決まっている。

こういう形はなかなか出来ないっすよ!

やっぱ凄いよ!イタやん!
蔵訪問は今回で3回目なのですが
いまだにイタやんの出身地はわからない。
今回加藤杜氏にうかがったところ
「ロシアのカニ釣り漁船の網に引っかかっていたんや」というところまでは
何とか聞きだせました(笑)
続きはまた来年!ということですね。
(<補足>  彼は他の蔵で言うなら“かしら”なのかな?
「どの蔵行っても、杜氏やれるくらいのもんや」と加藤杜氏。
そんなハイレベルの技術者なのに…オモシロ過ぎなかんじが…)

ちなみにヘッピリ腰とはこういうかんじ(笑)
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この画像は昨年のワタクシです(汗)

by soba-kiri | 2009-02-01 00:31 | 社会科見学