心に響いた鴨南蛮

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おとといの金曜の昼にお一人でお見えになって
鴨南蛮を召し上がった男性のお客さまが
勘定を済ませお帰りになるときに

「とてもおいしかった!感動した!」
眼を潤ませているではありませんか

よくよく話を伺うと
「じつはある病気の治療の副作用のせいで
味覚障害をおこしているので何を食べてもおいしくない。
ところが、今食べた鴨南蛮は、まろやかな味わいが
すごくよく感じられておいしかった。感動しました。」
というわけでした。





味覚障害

なんて恐ろしい。。
この病気についての知識は何もありませんが
さまざまな薬の副作用によってもおきるようです。

それにしても当店の鴨南蛮がその方の
閉ざされた味覚に何らかのアクセスができたというのは
作り手としてうれしい、ワクワクするものがあります。

なにも特別な魔法をかけるわけではない
良質な素材の持ち味を消さぬよう
地味で細かな仕事を積み上げていくだけの世界です。

「細部にこそ神は宿る」といいますが
そういうことなのかも知れません。

画像は当店の鰹節4種です。
左から本節・亀節・宗田節・ゴマ鯖節となります。
あたたかいそばの汁にはこのうち
宗田節・ゴマ鯖節をメインに汁を組み立てます。

節の選択、下処理、削り方から始まり
昆布、椎茸の下準備、
醤油選び、かえしの仕込み
出汁とかえしの調合、その割合
そして蕎麦をゆでつつ鴨南蛮の汁を調理、
盛り付けたら「はい、どうぞ」
そして最後の蕎麦湯までイメージしていきます。

一連の仕事の結果としてあのお客さまの心のどこかに
響くものがあったのだとしたら、それは良かった。

蕎麦屋として冥加なことです。

by soba-kiri | 2006-02-13 01:51 | 蕎麦屋点描 | Comments(0)  

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